電気設備は、インフラや住宅、オフィスビル等の電気設備の建設・保守管理を通じて、生活の向上や経済の持続的な成長をサポートする役割を担っている。人々の生活の一番身近なところで生活・ライフラインを支えており、暮らしに安全や安心を提供している。
　その一方で近年、人々のニーズは多様化・高度化しており、電気設備に求められるニーズも時代とともに変化している。また、人口減少、少子化・高齢化社会など、現在抱える様々な問題の中で経済活力を維持するためには、「担い手確保」や「AI(人工知能)」、「IoT(Internet of Things)」、「ロボット技術」などの活用による生産性向上を図ることが必要となる。
　このような状況を踏まえ、JECA FAIR 2023では開催テーマとして「サステナブルな社会の実現に向けて！一歩踏み出す電設技術」を掲げ、変化し続ける社会環境に対応するための電設技術による取り組みが数多く展示される。電気設備業界関係者が一堂に集う同展では、出展者と来場者の出会いにより新たなビジネスチャンスが生まれる。最新機器や新工法により、生産性向上、施工の省力化・効率化に貢献。働き方改革を推進し、豊かな暮らしを実現するヒントが盛り沢山だ。

　電気設備は、電線や電源設備、コンセント、照明器具といった比較的小さなものから、受変電設備や発電装置といった大きなものまで多岐にわたる。それだけに様々な電設機器が集まる同展では、安全対策や省エネ・省スペース、作業効率アップなど、新たな製品や設備を導入することで得られる恩恵も大きく、見どころも多い。中でも安全対策に関する製品や技術は重要性も高く、展示会でぜひ注目したいポイントと言える。
　エネルギーの多くを電気に依存している現代社会では、電気の供給がストップすれば産業も生活も成り立たなくなる。工場も稼働できず、多大な影響を及ぼす。それゆえ電気設備には、電気を安全かつ安定して供給することが必要不可欠だ。
　たとえば、たった1本の電線にも、安全対策に関する様々な工夫が施されている。断線を防ぐために屈折や歪曲に強い構造を用いたり、漏電しないように特殊な絶縁加工やコーティングを施したりしたものもある。また、摩耗や衝撃、劣化などに強い素材も開発されており、最新の技術や素材を積極的に取り入れた安全対策が為されている。
　また、電設工事の作業従事者に対する安全性を高めた工夫も多い。感電や誤嵌合を防ぐことで事故防止を図り、より安全な施工が可能な構造へと製品の改良が進んでいる。

　一方、装置を小型化したり、エネルギーを効率的に活用することによって省電力化や省スペース化を試みる取り組みも一段と進んでいる。バラバラの機器や装置を個別に組み合わせるだけでなく、統一規格でパッケージングした複合モジュールとして開発された製品群も増えており、工場や倉庫など大規模施設全体を通じた管理や保守の効率性アップが進んでいる。
　大規模施設では、照明の点灯、ポンプやファンのオンオフ、工作機械やロボットの稼働など、多様な機器や装置がオートメーションで動作しているため、すべての機器の使用状況を人間が個々に把握することは難しい。そこで電気設備にIoTを用いた中央監視システムが注目されている。中央監視システムで工場内の機器の動作を監視・制御することで、ムダのない効率的な稼働が可能になる。省エネルギーで安定した設備稼働ができるため、効果的なコスト削減が可能だ。